製造業向けCRMツールおすすめ8選|選び方や導入メリットも紹介
更新日 2026年07月23日
製造業は日本のGDPの約2割を占める重要産業です。一方で、人手不足やDXの遅れ、営業部門と製造・技術・サポート部門の情報共有不足など、業務効率化を進めるうえでの課題も多くあります。
特にBtoB取引が中心の製造業では、商談期間が長く、顧客ごとの対応履歴を継続的に管理する必要があります。そこで役立つのが、顧客情報や営業活動を一元管理できるCRMツールです。
本記事では、製造業向けCRMツールおすすめ8選を比較し、選び方や導入メリットを解説します。自社に合うCRMツールを検討する際の参考にしてください。

製造業におすすめのCRMツールを厳選し、比較表付きでご紹介します。今回は、製造業での活用シーンに合わせて、以下の2つに分類して紹介します。
- 製造業の営業管理・案件管理に強いCRMツール
- 自社業務に合わせてCRM運用を構築できるツール
製造業では、長期商談や見積履歴、受注見込みを継続的に管理できるCRMツールが役立ちます。ここでは、営業管理や案件管理に強みを持つサービスを紹介します。
サービス名 | 強み・特徴 | おすすめの企業 |
|---|
Salesforce Sales Cloud | ・顧客情報や営業活動、売上予測を可視化 ・部門や拠点をまたいだ案件管理に強み | ・営業組織が大きい製造業 ・部門横断で顧客データを活用したい製造業 |
eセールスマネージャー(esm) | ・営業活動や案件情報を管理 ・導入後の定着支援に強み | ・営業記録を定着させたい製造業 ・見積後のフォローを共有したい製造業 |
Mazrica Sales | ・案件の進捗や次のアクション把握に強み ・直感的に使いやすく入力負担を抑えやすい | ・営業活動を見える化したい製造業 ・マネージャーが案件状況を把握しやすくしたい製造業 |
Dynamics 365 | ・営業情報と業務データを連携しやすい ・Microsoft 365やPower BIと組み合わせやすい | ・Microsoft製品を活用したい製造業 ・将来的にERPや分析基盤との連携も見据えたい製造業 |
GENIEE SFA/CRM | ・案件管理や顧客管理をシンプルに始めやすい ・営業活動の進捗や担当者別の状況を確認しやすい | ・操作性と管理のしやすさを重視する製造業 ・営業活動の記録・共有から始めたい製造業 |
F-RevoCRM | ・商談管理から販売・サポート管理まで幅広く対応 ・受注前後の顧客対応をまとめて管理しやすい | ・営業部門とサポート部門の情報共有を進めたい製造業 ・受注後の対応品質を高めたい製造業 |
Salesforce Sales Cloud
株式会社セールスフォース・ジャパン
出典:Salesforce Sales Cloud https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/overview/
Salesforce Sales Cloudは、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するCRMツールです。顧客情報、商談、営業活動、売上予測をまとめて管理でき、案件ごとの進捗や受注見込みを部門間で共有しやすい点が特徴です。
見積条件や仕様確認、受注予定時期を案件単位で把握しやすいため、営業部門が得た情報を技術・製造・管理部門へ展開しやすくなります。
複数拠点で顧客対応を行う 製造業や、営業データを売上予測・生産計画に活かしながら、部門横断で顧客管理を進めたい企業に向いています。
主な機能
- 導入支援・運用支援あり
- クラウド(SaaS)
- 自動記録・文字起こし
- コメント機能
esm(eセールスマネージャー)
ソフトブレーン株式会社
出典:esm(eセールスマネージャー) https://www.e-sales.jp/
eセールスマネージャーは、ソフトブレーン株式会社が提供するCRMツールです。営業活動、案件情報、顧客情報を管理でき、導入後の運用定着まで支援を受けやすい点が特徴です。
訪問履歴、見積提出後のフォロー、既存顧客への追加提案を記録しやすいため、営業担当者ごとに管理方法が分かれやすい製造業でも、営業活動の進め方をそろえやすくなります。
長期取引の顧客情報を組織で引き継ぎたい企業や、見積後の追客、訪問活動、案件進捗を営業会議で確認しやすくしたい製造業に向いています。
主な機能
- クラウド(SaaS)
- 導入支援・運用支援あり
- スマホアプリ(iOS)対応
- スマホアプリ(Android)対応
Mazrica Sales
株式会社マツリカ
出典:Mazrica Sales https://product-senses.mazrica.com/
Mazrica Salesは、株式会社マツリカが提供するCRMツールです。顧客管理、案件管理、行動管理、レポート機能を備え、訪問や見積対応が多い製造業の営業担当者でも日常業務の中で使いやすい点が特徴です。
案件の進捗や次に取るべき行動を画面上で確認しやすいため、仕様確認、試作、見積調整、社内確認を経て受注に至る商談でも、停滞案件や対応漏れに気づきやすくなります。
入力負担を抑えながら商談状況を見える化したい製造業や、受注確度、見込み金額、次回対応予定をもとに営業マネジメントを進めたい製造業に向いています。
主な機能
- クラウド(SaaS)
- 導入支援・運用支援あり
- スマホアプリ(iOS)対応
- スマホアプリ(Android)対応
Dynamics 365
日本マイクロソフト株式会社
出典:Dynamics 365 https://www.microsoft.com/ja-jp/dynamics-365/products/sales
Dynamics 365は、日本マイクロソフト株式会社が提供するCRM・ERPを含むビジネスアプリケーションです。営業、顧客対応、業務データをつなげて管理でき、Microsoft 365やPower BIなどと組み合わせやすい点が特徴です。
営業部門の案件情報と、販売、在庫、会計、分析に関わるデータを連携しやすいため、受注見込みを生産計画や在庫調整に活かしたい製造業に適しています。
Microsoft製品を利用している製造業や、営業管理だけでなく、基幹業務や分析基盤まで含めて顧客データを活用したい製造業に向いています。
主な機能
- スマホアプリ(iOS)対応
- ワークフロー機能
- 顧客管理機能
- 定型タスクの自動実行機能
GENIEE SFA/CRM
株式会社ジーニー
出典:GENIEE SFA/CRM https://chikyu.net/
GENIEE SFA/CRMは、株式会社ジーニーが提供する国産の営業管理ツールです。案件管理、顧客管理、グラフ作成に対応しており、営業活動の進捗や担当者ごとの状況を把握しやすい点が特徴です。
見積提出後のフォロー、既存顧客への継続提案、納品後の状況確認を案件や顧客に紐づけて整理できるため、長期取引が多い製造業でも対応履歴を追いやすくなります。
まずは営業活動の記録・共有から始めたい製造業や、複雑な運用にせず、見積後フォローや既存顧客対応の抜け漏れを減らしたい製造業に向いています。
主な機能
- 導入支援・運用支援あり
- クラウド(SaaS)
- スマホアプリ(iOS)対応
- スマホアプリ(Android)対応
F-RevoCRM
シンキングリード株式会社
出典:F-RevoCRM https://f-revocrm.jp/
F-RevoCRMは、シンキングリード株式会社が提供する統合型の顧客管理システムです。顧客・商談管理に加え、リード管理、販売管理、サポート管理、プロジェクト管理まで幅広く対応しています。
商談、販売、サポート、プロジェクトを同じシステム上で扱えるため、営業時の見積条件や顧客要望を、受注後の問い合わせ対応や追加提案にも活かしやすい点が特徴です。納品後も顧客対応が続く製造業で、部門間の情報分断を防ぎやすくなります。
営業部門とサポート部門で顧客情報を共有したい製造業や、受注後の対応履歴まで蓄積し、顧客対応 品質を高めたい製造業に向いています。
主な機能
- クラウド(SaaS)
- 導入支援・運用支援あり
- オンプレミス(パッケージ)
- モバイルブラウザ(スマホブラウザ)対応
既存のCRMツールでは業務フローに合わない場合は、自社に合わせて顧客管理や案件管理の仕組みを作れるツールも選択肢になります。
製造業では、見積依頼や問い合わせ、品質対応などの周辺業務とあわせて管理しやすい点がメリットです。
サービス名 | 強み・特徴 | おすすめの企業 |
|---|
kintone | ・顧客管理や案件管理のアプリを作成できる ・製造業の周辺業務にも広げやすい | ・既存CRMでは業務に合わない製造業 ・顧客管理と現場業務をまとめたい製造業 |
JUST.DB | ・ノーコードで業務システムを構築できる ・複数部門のデータを集約しやすい | ・自社独自のCRM運用を作りたい製造業 ・Excel管理から段階的に移行したい製造業 |
kintoneは、サイボウズ株式会社が提供する業務アプリ作成ツールです。顧客管理や案件管理に加え、見積依頼、問い合わせ、クレーム、品質対応などのアプリを自社に合わせて作成できます。
管理項目や画面を柔軟に設計できるため、顧客要望、図面確認、見積条件、品質対応の履歴など、標準的なCRMでは管理しにくい製造業特有の情報も顧客情報とあわせて整理しやすい点が特徴で す。
営業部門と技術・製造・品質管理部門で必要な情報を共有しやすく、既存のCRMでは業務に合わない製造業や、Excel管理から自社に合うCRM運用へ移行したい企業に向いています。
JUST.DB
株式会社ジャストシステム
出典:JUST.DB https://www.justsystems.com/jp/products/justdb/
JUST.DBは、株式会社ジャストシステムが提供するノーコードクラウドデータベースです。プログラミングなしで、顧客管理、案件管理、見積依頼管理、問い合わせ管理などの業務システムを構築できます。
部門ごとの管理項目に合わせてデータベースを設計できるため、顧客情報、見積依頼、対応履歴、進捗状況、品質対応の記録を同じ基盤で管理しやすい点が特徴。Excelや個別ファイルで情報を管理している製造業でも、営業・技術・製造・品質管理部門が最新情報を確認しやすくなり、確認作業や対応漏れの削減につながります。
自社独自のCRM運用を作りたい製造業や、部門ごとの情報管理を段階的に見直したい企業に向いています。
主な機能
- 検索機能
- ページ形式の閲覧
- レコード表示での閲覧
- 権限管理設定

製造業向けCRMツールとは、見込み客や既存顧客の情報、商談履歴、問い合わせ内容などをまとめて管理し、営業活動や顧客対応に活用できるツールです。CRMはCustomer Relationship Managementの略で、日本語では顧客関係管理と呼ばれます。
CRMツールでは、会社名や担当者名などの顧客情報、商談履歴、見積条件、問い合わせ内容、受注履歴、次回アプローチ予定などを管理できます。これらの情報をまとめて確認できるため、営業担当者が変わっても顧客対応の品質を保ちやすくなります。
CRMツールでは、主に以下のような情報を管理できます。
CRMツールで一元管理できる主な情報
- 会社名、担当者名、部署名などの顧客情報
- 商談履歴、提案内容、見積条件などの営業情報
- 問い合わせ内容、クレーム、対応履歴などのサポート情報
- 受注履歴、購入履歴、契約更新時期などの取引情報
- 次回アプローチ予定、タスク、営業担当者の活動履歴
これらの情報をまとめて確認できるため、営業担当者が変わっても顧客対応の品質を保ちやすくなります。まずは情報を散在させないシステムとして理解しましょう。
CRMツールは顧客情報の管理を中心とする一方、SFAやMA、ERP、生産管理システムは目的が異なります。混同しやすいため、それぞれの役割を整理しておきましょう。
システム | 主な目的 | 製造業での活用例 |
|---|
CRM | 顧客情報や関係性の管理 | 顧客情報、商談履歴、問い合わせ履歴の管理 |
SFA | 営業活動の支援 | 案件管理、行動管理、営業報告の効率化 |
MA | 見込み客の獲得・育成 | メール配信、資料請求後のフォロー |
ERP | 企業全体の基幹業務管理 | 会計、販売、購買、在庫などの統合管理 |
生産管理システム | 生産工程や在庫の管理 | 生産計画、工程管理、原価管理 |
CRMは顧客との関係性を管理するシステムであり、SFAは営業活動、MAは見込み客の育成、ERPや生産管理システムは基幹業務や生産工程の管理を担います。
製造業では、顧客対応はCRM、営業活動はSFA、生産や在庫はERP・生産管理システムのように、目的に応じて使い分けると理解しておくと良いでしょう。

製造業では、顧客対応が複雑化し、部門間の情報共有も重要になっています。ここからは、CRMツールが求められる背景を紹介します。
製造業では、顧客の要望や過去の交渉内容が、営業担当者のメール、Excel、個人メモに分散しやすく、属人化しやすい傾向にあります。
取引期間が長く、顧客ごとの仕様や価格条件も異なるため、情報を個人の経験で補っているケースも少なくありません。担当者の異動や退職が起きると、経緯を追いづらくなる点も、製造業で起こりやすい課題です。
製造業のBtoB取引では、初回接点から受注までに時間がかかることがあります。仕様確認、見積提出、価格交渉、試作、再提案など、商談中に発生するやり取りも多くなりがちです。さらに受注後も、納品、保守、追加発注などの対応が続くため、顧客対応の履歴を継続的に追う必要があります。
製造業では、営業部門が受けた要望をもとに、技術部門が仕様を確認し、製造部門が納期や生産可否を判断する場面があります。ただ、部門ごとに使うシステムや管理する情報が異なると、確認に時間がかかりやすくなります。情報共有が遅れると、見積回答や納期調整にも影響が出る場合があります。
人手不足やDX推進により業務効率化が求められている
製造業では、人材確保や技能継承が課題となるなか、営業活動や顧客対応の効率化も求められています。2025年版ものづくり白書でも、人材確保やDXの取組状況が重要な論点として扱われています。限られた人員で受注機会を逃さないためにも、顧客情報を活用できる体制づくりが必要になっています。
参考:経済産業省・厚生労働省・文部科学省
「2025年版ものづくり白書」
CRMツールを導入すると、営業管理だけでなく製造業特有の部門連携や顧客対応にも効果が期待できます。主なメリットを紹介します。
CRMツールを導入すると、過去の提案内容や見積条件、問い合わせ履歴を組織で引き継ぎやすくなります。担当者の異動や退職があっても、顧客とのやり取りの経緯を確認できるため、営業対応の属人化を防ぎやすくなります。
製造業では長期取引の顧客も多いため、情報を組織で引き継げる状態にしておくことが重要です。まずは営業情報をCRMに集約する運用から始め るのがおすすめです。
商談状況を可視化し、営業マネジメントをしやすくなる
CRMツールでは、案件ごとの進捗や次回対応予定、受注見込みを一覧で確認できます。これにより、営業責任者は担当者ごとの活動量や停滞している商談を把握しやすくなります。
たとえば、見積提出後にフォローが止まっている案件を早めに確認できれば、失注リスクの低減にもつながります。営業会議では感覚的な報告だけでなく、データをもとに対策を考えやすくなります。
顧客対応の抜け漏れを減らし、対応品質を高めやすくなるのも、CRMツールを活用するメリットのひとつです。営業が受けた要望、製造側の対応可否、納品後の問い合わせ履歴を共有できれば、部門間の確認作業を減らせます。
仕様変更や納期調整が発生することも多い製造業では、最新情報を確認できる環境が大切です。関係部署が同じ履歴を見られる状態にしておくと、対応のばらつきも抑えやすくなります。
顧客ニーズを分析し、新製品開発や追加提案に活かせる
CRMツールに蓄積した顧客情報は、新製品開発や追加提案にも活用できます。問い合わせ内容、購入履歴、要望、失注理由などを分析することで、顧客が求める仕様や改善点を把握しやすくなるためです。
たとえば、特定の業界から同じ要望が多い場合、製品改良やオプション提案のヒントになります。営業活動だけでなく、顧客ニーズを製品企画に反映する基盤としてもCRMは役立ちます。
CRMツールで案件の進捗や受注見込みを管理すると、売上予測を立てやすくなります。製造業では、受注の見通しが生産計画や在庫調整に関わるため、営業情報を早めに共有することが重要です。
確度の高い案件や受注予定時期を把握できれば、製造部門も人員や材料の準備を進めやすくなります。営業データを生産側に活かすことで、機会損失や過剰在庫の抑制にもつなげやすくなります。

製造業向けCRMツールを選ぶ際は、機能数や料金だけでなく、自社の営業課題や業務フローに合うかを確認することが重要です。
ここでは、導入前に確認しておきたい7つのポイントを紹介します。
CRMツールを比較する際は、製造業での導入実績や、自社に近い業務での活用実績があるかを確認しましょう。製造業は、長期商談 、既存顧客への継続提案、仕様確認、納期調整、アフターサポートなど、営業だけで完結しない業務が多いのが特徴です。
ただし、製造業での導入実績だけにこだわりすぎる必要はありません。BtoB営業や複数拠点での顧客管理、基幹システムとの連携、代理店管理など、自社の業務に近い実績があるサービスも候補になります。業種名だけでなく、導入前の課題や活用されている機能まで見ると、自社に合うか判断しやすくなります。
製造業では、営業部門だけでなく、製造部門や技術部門も顧客対応に関わるため、部門間で情報を共有しやすいCRMツールを選ぶのがおすすめです。
顧客情報や商談履歴を複数部門で閲覧できるか、コメントやタスクでやり取りを残せるか、部署ごとに閲覧権限を設定できるかを確認しましょう。営業担当者が登録した顧客要望を技術部門が確認し、製造部門が納期や対応可否を追記できる設計であれば、確認作業をCRM上で進めやすくなります。
ERPや生産管理システムと連携できるかも、製造業向けCRMツールを選ぶうえ確認ポイントです。CRMは顧客情報や商談履歴の管理に強みがありますが、在庫、購買、会計、生産工程などはERPや生産管理システムで管理している企業も多いためです。
連携を検討する際は、顧客情報、受注見込み、見積情報、納品情報、問い合わせ履歴のうち、どのデータを連携したいのかを整理しましょう。そのうえで、標準機能で対応できる範囲、API連携の可否、個別開発の必要性、追加費用、連携後の更新頻度まで確認しておくと安心です。
BtoBの長期商談や複数部署が関わる案件管理に対応できるか
製造業のCRMツールでは、BtoBの長期商談や複数部署が関わる案件管理に対応できるかを確認が必要です。長期商談に対応するには、商談フェーズ、見積提出日、次回対応予定、受注予定月、案件確度、関係部署の対応履歴を案件ごとに管理できるかを確認しましょう。
そのため、案件ごとの進捗、商談フェーズ、関係者、次回対応予定、見積条件などを管理できるCRMツールが適しています。単に顧客情報を登録できるだけでなく、複数回のやり取りを時系列で追えるかもチェックしましょう。
CRMツールは、営業現場が入力しやすく、日常業務に定着しやすいものを選ぶことがベストです。どれだけ高機能でも、入力に時間がかかる、画面が分かりにくい、外出先で使いにくいといった状態では、情報が蓄積されにくくなります。
特に製造業の営業担当者は、既存顧客の訪問、見積対応、納期調整、社内確認などを並行して行うことがあります。スマートフォンやタブレットから入力できるか、日報や活動履歴を簡単に登録できるか、入力項目を自社に合わせて調整できるかを確認しておくと安心です。
受注見込みや売上予測を可視化できるかも、製造業向けCRMツールの重要な比較ポイントです。製造業では、営業部門の案件状況が生産計画、在庫調整、人員配置に関わることがあります。受注予定時期や案件確度を把握できないと、急な受注への対応や過剰在庫の判断が難しくなる場合があります。
CRMツールを選ぶ際は、案件ごとの受注確度、見込み金額、受注予定月、商談フェーズ、失注理由を管理できるかを確認しましょう。月別・担当者別・製品別に見込み案件を集計できると、営業会議や生産部門との情報共有にも活用しやすくなります。
CRMツールは導入して終わりではなく、運用しながら改善していくことが不可欠です。そのため、導入後のサポートや運用改善まで相談できるかを確認しましょう。初期設定、データ移行、権限設計、入力項目の整理、社内説明会など、導入時には決めることが多くあります。
特に製造業では、営業部門だけでなく、製造・技術・サポート部門を含めて利用範囲が広がることもあります。運用開始後に、入力率が上がらない、必要なレポートが出せない、部門ごとの使い方がばらつくといった課題が出ることもあるため、継続的に相談できる体制があると安心です。

CRMツールは、導入前の準備や運用設計が不十分だと、十分に活用されないまま形骸化する可能性があります。ここからは、導入時に注意したい点と回避策を紹介します。
CRMツールを導入する前に、目的と優先順位を部門横断で決めておきましょう。営業部門だけで導入目的を決めると、製造部門や技術部門が必要とする情報が抜け落ち、導入後に運用上の不都合が生じる場合があります。
たとえば、営業情報の属人化を防ぎたいのか、受注見込みを生産計画に活かしたいのか、アフターサポートの履歴を共有したいのかによって、必要な機能や入力項目は変わります。最初にすべての課題を解決しようとせず、優先度の高い課題から取り組むと、運用が複雑になりにくいでしょう。
CRMツールの運用では、営業現場に入力負担が集中しないようにすることが大切です。顧客情報、商談履歴、訪問記録、見積条件、問い合わせ内容などをすべて営業担当者だけに入力させると、通常業務を圧迫し、入力が後回しになりやすくなります。
回避策としては、入力項目を必要最低限に絞る、選択式の項目を増やす、名刺管理やメール連携を活用する、部門ごとに更新する情報を分担するなどが考えられます。CRMは現場の管理を強めるためではなく、営業活動や顧客対応を進めやすくするために運用することが重要です。
CRMツールを有効活用するには、顧客データの入力・更新 ルールを決めておく必要があります。会社名の表記、部署名、担当者名、商談ステータス、問い合わせ履歴などの入力方法が担当者ごとに異なると、検索や集計がしにくくなります。
たとえば、同じ企業が別名で複数登録されると、過去の商談履歴や対応履歴を正しく把握できません。導入時には、必須項目、更新タイミング、重複登録の確認方法、古い情報の扱いを決めておきましょう。
CRMツールは、最初から全社で多くの機能を使おうとせず、小さく始めて段階的に利用範囲を広げることをおすすめします。導入初期から顧客管理、案件管理、レポート、システム連携、サポート管理まで一気に進めると、現場が使い方を覚えきれず、運用が定着しにくくなるためです。
まずは営業部門の顧客情報や商談履歴の管理から始め、運用に慣れてから製造・技術・サポート部門へ共有範囲を広げる方法もあります。段階的に進めることで、現場の反応を見ながら入力項目や管理ルールを調整しやすくなります。
CRMツールの導入後は、運用担当者と改善フローを決めておくことが欠かせません。担当者が曖昧なままだと、入力ルールの変更、項目追加、権限設定、レポート改善などが後回しになり、使いにくい状態が続く恐れがあります。
運用担当者は、営業部門だけでなく、情報システム部門やDX推進部門と連携できる体制にしておくとよいでしょう。定期的に利用状況や入力率、現場からの要望を確認し、必要に応じて設定や運用ルールを見直すことが大切です。改善を続けることで、CRMツールを組織に定着させやすくなります。

ここからは、製造業におけるCRMツールの活用事例をご紹介します。
ダイレクト営業の強化に向けて営業情報の活用基盤を整えた事例
スポーツ用品の製造を手掛けるミズノ株式会社は、ダイレクト営業の強化に向けてMazrica Salesを導入しました。Mazrica Salesは、営業部門向けアンケートで顧客管理・案件管理・使用感の3項目で高く評価され、現場が使いやすいCRMとして選ばれています。
導入前は、複数のシステムをつなぎ合わせて営業プロセスを管理しており、情報の散在やデータ活用のしづらさが課題でした。導入後は約4ヵ月でデータ蓄積が進み、営業活動の効率化や案件状況の可視化に取り組んでいます。営業データを活用し、将来的にはダイレクト営業の直販比率50%を目指しているそうです。
部門横断の情報共有で既存顧客への営業力を高めた事例
検査装置メーカーの株式会社ヒューテックは、部門を横断した情報共有を進めるためにGENIEE SFA/CRMを導入しました。納品後10年以上利用される製品を扱い、営業活動の大半が既存顧客向けである同社では、営業部門だけでなくサービスエンジニア部門、製造部門、開発部門が持つ顧客情報の共有が重要でした。
導入後は、顧客の不具合情報や対応状況をGENIEE SFA/CRMで管理し、営業担当者が担当顧客の状況を確認しやすい体制を構築。部門連携により、クレーム予防やトラブル解決までの時間短縮にもつながっています。
製造業向けCRMツールに関するよくある質問(FAQ)
製造業向けCRMツールを検討する際は、導入期間や費用、既存データの移行なども気になるポイントです。ここでは、導入前によくある質問に回答します。
製造業でCRMツールを導入するまでにどれくらいの期間がかかる?
導入期間は、利用人数や連携範囲によって異なります。小規模な顧客管理から始める場合は1〜3カ月ほど、大規模な部門連携や基幹システム連携を含む場合は半年以上かかることもあります。
費用は、月額利用料、初期設定費、デー タ移行費、連携開発費などで変わります。クラウド型は1ユーザーあたり月額数千円から始められる一方、個別開発が必要な場合は費用が大きくなります。
既存のExcel管理からCRMツールへ移行できる?
Excelで管理している顧客情報は、多くのCRMツールへ移行できます。ただし、表記ゆれや重複データがあると移行後に使いにくくなるため、会社名や担当者名、商談ステータスを事前に整理しておくと安心です。
効果は、入力率、商談の進捗管理率、案件の停滞件数、受注率、営業報告にかかる時間、問い合わせ対応の抜け漏れ件数などで判断できます。導入目的に合わせて、見る指標を決めておきましょう。
まとめ|製造業の営業・製造・サポートをつなぐCRMツールを選ぼう
製造業向けCRMツールは、顧客情報や商談履歴を一元管理し、営業・製造・技術・サポート部門の連携を助けるシステムです。長期商談や継続取引が多い製造業では、情報の属人化を防ぎ、顧客対応の品質を保つことが重要になります。
ツールを選ぶ際は、製造業での導入実績だけでなく、部門間共有、既存システム連携、案件管理、入力のしやすさ、導入後のサポートまで確認しておくと安心です。自社の課題や業務フローに合うCRMツールを選ぶことで、営業活動の効率化と顧客対応の改善につなげやすくなります。
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