不動産業界におすすめの会計ソフト7選|選び方と費用相場も解説
更新日 2026年02月13日
不動産業では、仲介手数料や賃料収入、管理費など収益構造が複雑になりやすく、会計処理に手間がかかりがちです。Excelで管理しているものの限界を感じていたり、無料で使える会計ソフトがあるのか気になっていたりするケースも多いのではないでしょうか。一方で、会計ソフトは種類が多く、「不動産業に本当に対応しているのか」「法人・個人のどちらに向いているのか」と判断 が難しい場面も少なくありません。
そこで本記事では、不動産業向けにおすすめの会計ソフトを7製品ご紹介します。あわせて、不動産業界ならではの選び方や費用相場、実際の活用シーンも解説しますので、自社に合った会計ソフト選びの参考にしてください。

不動産会社にとって会計業務は、家賃収入や管理費、修繕費など取引内容が多岐にわたるため、一般的な業種よりも煩雑になりがちです。Excelや手作業での管理では限界を感じ、会計ソフトの導入を検討する企業も少なくありません。ただし、不動産業界専用の会計ソフトは多くないため、実際には汎用会計ソフトを業務に合わせて活用するケースが主流です。ここからは、不動産会社での利用実績や機能面を踏まえ、会計業務に活用しやすいソフトを厳選して7製品ご紹介します。
弥生会計 Next
弥生株式会社
出典:弥生会計 Next https://www.yayoi-kk.co.jp/kaikei/
弥生会計 Nextは、日々の仕訳入力から決算業務までをクラウド上で管理できる法人向け会計ソフトです。銀行口座やクレジットカード、請求書データと連携することで取引情報を自動取得し、仕訳作業を効率化できる設計となっています。電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しており、制度改正を見据えた会計管理を行える点が特徴です。
ブラウザ上で操作できるため、オフィス外や複数拠点からでも会計処理を進められます。補助科目や部門管理機能を活用すれば、事業別・拠点別の損益管理にも対応可能です。また、請求書作成や経費精算など弥生の関連サービスと連携することで、バックオフィス業務を一元化できます。帳票出力やデータ共有にも対応しており、税理士との連携もしやすい構成です。
実務では、Excel管理からの脱却や経理業務の効率化を目的とした小規模〜中堅企業を中心に利用されています。クラウド型のため、経理業務の属人化を防ぎながら、日々の経営数値をタイムリーに把握したい企業に適した会計ソフトといえるでしょう。
主な機能
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- チャットサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
マネーフォワード クラウド会計
株式会社マネーフォワード
出典:マネーフォワード クラウド会計 https://biz.moneyforward.com/
マネーフォワード クラウド会計は、取引データの入力から仕訳・帳簿作成、さらには決算書類の出力までをクラウド上で一元管 理できる会計ソフトです。銀行口座やクレジットカードなど多くの金融機関との自動連携機能により、取引データを自動取得・仕訳できるため、経理担当者の手入力負担を大幅に削減できます。また、リアルタイムでレポートを確認できるため、経営状況の把握や資金繰りの見える化にも役立ちます。
ブラウザから操作できるクラウド型のため、オフィスだけでなく外出先や拠点からでも会計処理を進められる点も特徴です。補助科目や部門別管理の機能を利用すれば、事業所や物件ごとの収支分析にも対応できます。また、電子帳簿保存法などの法制度にも対応しており、制度変更に合わせた運用が可能です。さらに、請求書作成や経費精算、給与計算などマネーフォワード グループが提供する他のクラウドサービスと連携でき、バックオフィス全体の効率化につなげられます。
実務では、中小企業や法人を中心に幅広い業種で導入されており、建設・不動産会社でも経理業務の効率化に活用されています。実際に導入事例では、マネーフォワード クラウドを導入した不動産・建設業の法人が、従来の属人的な会計処理から脱却し、経理作業を効率化したケースが報告されています。
主な機能
- メールサポートあり
- チャットサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- Mac対応
freee会計
freee株式会社
出典:freee会計 https://www.freee.co.jp/erp-professional.html?fr=top_lfo&set_ip2cinfo=true
freee会計は、日々の仕訳入力から財務管理、決算書類の出力までをクラウド上でまとめて行える会計ソフトです。銀行口座やクレジットカード、電子マネーなど多くの取引データと自動連携し、明細をそのまま自動で仕訳できるため、入力作業の負担を大幅に軽減できる設計になっています。仕訳学習機能やAI-OCRを活用した自動記帳により、繰り返しの経理業務も効率化できる点が特徴です。freee会計は国内シェアが高く、利用企業数が多いクラウド会計ソフトとしても知られています。
ブラウザ上で操作できるクラウド型であるため、オフィスはもちろん、外出先や複数拠点からでも会計処理を進められます。請求書発行や入金消込、支払管 理などの周辺機能も同一画面で操作できるため、経理の基本業務を一元管理しやすい構造です。また、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しており、法制度の変更にも対応した運用が可能です。種別ごとの科目管理やレポート画面は経営状態を視覚的に把握するのにも役立ちます。
実務では、小規模〜中堅企業を中心に幅広い業種で導入されており、属人的だった経理作業を自動化することで月次決算やレポート作成までの工数を削減した事例が多く報告されています。経理担当者が少ない不動産会社でも、取引データの集約・自動仕訳により作業時間の短縮とともに、経営数値のリアルタイム把握につなげたい企業に適した会計ソフトです。
勘定奉行クラウド
株式会社オービックビジネスコンサルタント
出典:勘定奉行クラウド https://www.obc.co.jp/
勘定奉行クラウドは、クラウド型の法人向け会計ソフトです。長年の実績を持つ「奉行シリーズ」の使いやすさをクラウド環境に最適化しており、自動仕訳や取引データの入力・集計、分析・決算処理までを網羅的に管理できます。多くの企業で導入されているシェア実績の高いソフトで、経理業務の効率化と精度向上を支える設計となっています。
クラウド型の利点を活かし、月次決算のスピードアップや経理DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進にも対応します。AIによる仕訳の自動化や、税理士とのリアルタイム連携機能などを備えており、経理担当者の作業負担を軽減するだけでなく、数字の信頼性・正確性を高められます。また、補助科目や部門別の管理にも対応しており、事業所別・物件別など細かな収支分析にも活用可能です。
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も進めており、法令改正にも強い構成になっています。中堅〜中小企業を中心に、複雑な取引や会計処理が求められる法人での利用実績が豊富なため、不動産会社が経 理基盤を強化し、月次決算や決算業務の正確性を高めたい場合にも適した会計ソフトです。
主な機能
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- AIによる勘定科目の提案機能
PCAクラウド会計
ピー・シー・エー株式会社
出典:PCAクラウド会計 https://pca.jp/
PCA会計は、中小企業向けの会計業務をクラウド環境で効率化できる会計ソフトです。日々の伝票入力から元帳・試算表・決算書の作 成、経営分析・各種管理帳票の出力まで会計業務に必要な機能が一通り揃っており、仕訳承認フローや自動仕訳の活用によって業務負担を軽減します。クラウド型でインターネットにつながればどこからでもアクセスでき、伝票処理や決算作業を柔軟に進められる設計です。
ブラウザでの操作が中心となるPCAクラウド会計では、銀行口座やクレジットカード明細の取り込みによる仕訳自動生成にも対応し、日々の入力作業を効率化できます。利用者ごとに権限設定や操作ログの管理が可能なため、内部統制の強化にも寄与する点が特徴です。また、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法制度にも対応しており、コンプライアンス面でも安心して利用できます。
PCAの会計ソフトはサブスクリプション型サービスとして提供され、クラウド利用に加えてオンプレミス(自社サーバ)での運用も選べるハイブリッド型構成を採用しています。長年にわたり多くの法人に導入されており、複雑な会計処理や多部署・部門別の管理が必要な企業でも活用されています。税理士など外部専門家とのデータ共有やAPIによる他システム連携も可能で、経理・財務基盤の強化を図りたい企業に適した選択肢です。
主な機能
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- 勘定科目のCSVインポート機能
ジョブカン会計
株式会社DONUTS
出典:ジョブカン会計 https://ac.jobcan.ne.jp/
ジョブカン会計は、クラウド型の法人向け会計ソフトで、取引入力から仕訳・帳簿作成、決算書類の出力まで会計業務を一元管理できる会計システムです。インターネットに接続できる環境があればブラウザから操作でき、自動集計や金融機関連携機能により日々の仕訳・帳簿管理の効率化を図れます。基本的な財務諸表や試算表、残高推移表などの帳票出力にも対応しており、業務の可視化に役立つ設計です。
部門登録やプロジェクト別管理、予算・実績比較といった分析機能を備えており、部署・プロジェクト単位での収支管理も可能です。また、電子帳簿保存法やインボイス制度といった法制度の対応機能も実装されているため、制度変更後の運用にも備えられます。さらに、シリーズ累計数十万社の導入実績を持つジョブカンシリーズとの連携により、経費精算・勤怠管理・請求書発行などと情報を統合できる点も特徴です。
実務では、シンプルな操作性と豊富な分析機能により中小企業や成長期の事業者での導入が多く、経理担当者の負担を軽減しながらタイムリーに財務状況を把握したい企業に適しています。また、無料トライアル期間を活用することで実際の操作感を確認して導入検討できる点も評価されています。
主な機能
- 電話サポートあり
- メールサポートあり
- チャットサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
FX4クラウ ド
株式会社TKC
出典:FX4クラウド https://www.tkc.jp/
FX4クラウドは、TKCが提供するクラウド型の法人向け会計ソフトで、会計処理だけでなく業績管理や他システムとのデータ連携まで幅広い機能を備えてい ます。日々の取引入力・仕訳・帳簿作成・決算処理をクラウド上で一元管理できる設計で、複数拠点・部門別の業績分析や管理資料の作成にも対応可能です。クラウドにより最新の財務データをいつでも確認でき、経営判断のスピードアップにも寄与します。
他の業務システム(販売管理や給与計算など)との連携機能を備えており、インターネットバンキングなどから取引データを自動取り込みして仕訳処理を効率化できる点も特徴です。また、部門別・階層別の業績管理や独自の管理帳票(マネジメントレポート)の作成機能を持つため、事業単位での収益性分析や計画対実績の比較にも活用できます。法制度面では、電子帳簿保存法に対応し、TKCデータセンターによる高いセキュリティ環境でデータを保護します。
導入支援面では、税務・会計の専門家であるTKC会員事務所による導入・運用サポートが受けられる点も特長です。専門家と連携することで、社内経理体制の構築や月次決算プロセスの改善につなげられるケースが多く、特に中堅〜大規模法人での導入実績が豊富です。
主な機能
- 電話サポートあり
- 電子帳簿保存法対応
- Mac対応
- 取引明細の自動取込機能
導入検討者の共通課題!不動産業向け会計ソフトはこんな方におすすめ

不動産業向けの会計ソフトは、「経理を効率化したい」「税理士に言われたから導入したい」といった漠然とした理由だけで選ぶよりも、日々の業務や管理体制で発生している具体的な課題を解消する手段として検討したほうが、導入効果を実感しやすい傾向があります。不動産業では、家賃収入や仲介手数料、管理委託料など収益形態が複数に分かれやすく、さらに修繕費や広告費といった不定期な支出も多いため、数字の管理が複雑になりやすいからです。
特に、売上や経費をExcelや紙ベースで管理している場合、物件数や取引件数が増えるにつれて入力作業が煩雑になり、月末や決算期にまとめて処理する運用になりがちです。その結果、入力漏れや集計ミスが発生しやすく、「数字は出ているが正 確かどうか分からない」という状態に陥るケースも少なくありません。また、経理業務が特定の担当者や代表者に集中している不動産会社では、担当者不在時に業務が滞るリスクも高まります。
以下のような状況に心当たりがある不動産会社は、会計ソフト導入の優先度が高いと考えられます。
導入をおすすめしたい「業務・管理体制の課題」
- 家賃収入や管理費、仲介手数料をExcelや紙で管理している不動産会
取引内容を手作業で入力・集計していると、物件数や契約数が増えるほど管理が複雑になります。入力漏れや集計ミスが起きやすく、正確な月次数字を把握できない状態になりがちです
- 経理業務が代表者や一部の担当者に集中している不動産会社
記帳や支払管理、締め作業を特定の人が担っている場合、属人化が進みやすくなります。担当者不在時に業務が止まるだけでなく、引き継ぎが難しくなる点も経営リスクです
- 管理システムや銀行データと会計が連携していない不動産会社
入出金データを管理システムや通帳から手作業で転記していると、二重入力や数字の不整合が発生しやすくなります。結果として、経理負担が減らず、帳簿の信頼性も下がります。
導入をおすすめしたい「数字管理・経営判断の課題」
- 物件別・事業別の収支を正確に把握できていない不動産会社
全体では売上が出ていても、どの物件や事業が利益を生んでいるのか把握できていないケースがあります。収益構造を数字で把握できない状態は、経営判断の遅れにつながります。
月末や決算時にまとめて数字を確認している場合、問題点への対応が後手に回りやすくなります。タイムリーに損益を把握できないことは、資金繰りや投資判断のリスクを高めます。
売上は別ツール、会計は別管理という状態では、確認作業や修正が増え、業務効率は向上しません。数字を一元管理できないことが、経営判断の精度を下げる要因になります。

ここからは、不動産業向け会計ソフトを選定する際に押さえておきたいポイントを解説します。不動産業では、取引形態や管理対象が多様であるため、一般的な業種以上に「自社の業務に合っているか」を見極めることが重要です。機能の多さや価格だけで判断せず、実際の業務フローや将来の事業展開も踏まえて選ぶことで、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。
不動産業向け会計ソフトを選ぶ際は、業界特有の取引に対応した勘定科目や仕訳設定ができるかを確認することが重要です。不動産業では、家賃収入、管理委託料、修繕費、広告宣伝費など、一般的な業種とは異なる取引が多く発生します。
これらを標準機能やカスタマイズで無理なく処理できない場合、手動調整が増え、経理負担がかえって大きくなります。不動産取引を想定した柔軟な仕訳設定が可能かを確認しましょう。
不動産会社の中には、仲介業務だけでなく、賃貸管理や自社保有物件の運営など複数の業態を併せて行っているケースも多くあります。業態ごとに収益構造やコストの性質が異なるため、会計上も分けて管理できることが望ましいです。
部門別管理や補助科目を活用して、業態ごとの損益を把握できる会計ソフトであれば、事業の収益性を正確に把握しやすくなります。将来的な事業拡大も見据えて対応範囲を確認しましょう。
会計ソフトには、個人事業主向けと法人向けで設計思想や機能に違いがあります。不動産オーナーとして個人で事業を行っている場合は、青色申告や確定申告に対応したソフトが適しています。一方、法人の場合は、決算書作成や複数口座管理、内部管理機能が求められます。
また、将来的に法人化を検討している場合、個人から法人へスムーズに移行できるかも重要な判断材料です。現在の事業形態だけでなく、今後の展開も踏まえて選びましょう。
不動産業では、税理士と連携して経理・税務を進めている企業や事業者が多いため、会計ソフトと税理士側のシステムが連携しやすいかも重要です。データ共有がスムーズに行えない場合、CSV出力や手作業による受け渡しが発生し、ミスや確認作業が増える原因になります。
顧問税理士が対応している会計ソフトか、または連携実績があるかを事前に確認することで、決算期の負担を軽減しやすくなります。
多くの会計ソフトには無料プランや試用期間が用意されていますが、無料で利用できる範囲と有料プランへの移行条件を把握しておくことが重要です。不動産業では、取引件数や管理物件数が増えると、仕訳数や機能制限に引っかかるケースがあります。
導入時は問題なく使えても、事業拡大に伴い急に有料移行が必要になることも少なくありません。将来的なコストを見据えて、料金体系を確認しておきましょう。
不動産業界向け会計ソフトの費用相場は月額数千円〜数万円が目安

不動産業界向けに利用されている会計ソフトの費用相場は、月額数千円から数万円程度が一般的です。実際には、個人事業主向けのシンプルなプランから、法人・複数拠点対応の高機能プランまで幅があり、事業規模や求める機能によって差が生じます。多くのクラウド会計ソフトでは段階的な料金体系が採用されており、最初は低コストで導入し、事業拡大に応じて上位プランへ移行するケースも少なくありません。費用だけでなく、対応できる業務範囲とのバランスを見て判断することが重要です。
小規模な不動産会社や個人事業主の場合、会計ソフトの費用目安は月額数千円〜10,000円程度が一つ の目安となります。この価格帯では、仕訳入力、帳簿作成、基本的な決算書出力といった会計業務をカバーできるクラウド会計ソフトが多く提供されています。
物件数や取引件数が比較的少ない段階であれば、部門管理や高度な分析機能を使わなくても運用できるケースも多いでしょう。まずは必要最低限の機能を備えたプランから導入し、業務量の増加に応じて上位プランを検討する形が現実的です。
従業員数が増え、複数拠点や複数事業を展開する中小不動産会社の場合、会計ソフトの費用は数万円程度になることが一般的です。このクラスでは、部門別管理や権限設定、税理士とのデータ共有、内部統制を意識した機能が求められます。
会計ソフト単体だけでなく、経費精算や請求書管理など他のバックオフィスツールと連携するケースも多く、トータルでのコストを把握することが重要です。単純な価格比較ではなく、業務効率化による効果も含めて検討しましょう。
会計ソフトの中には、無料プランや一定期間の無料トライアルを提供しているサービスもあります。個人事業主や取引件数の少ない不動産オーナーであれば、仕訳数や機能に制限がある無料プランでも対応できるケースがあります。ただし、無料プランは帳票出力やデータ保存期間、仕訳件数に制限が設けられていることが多く、管理物件や取引が増えると運用が難しくなりがちです。
また、法人利用や決算書作成、税理士連携などは有料プランが前提となることが一般的です。将来的な事業規模を見据え、無料でできる範囲と制限内容を事前に確認しておく必要があります。
不動産業界向け会計ソフトの導入シーンと実際の活用事例
ここでは、不動産業界で会計ソフトがどのような課題をきっかけに導入され、実務でどのように活用されているのかを、代表的なシーン別に整理します。自店の状況と照らし合わせながら読むことで、導入後のイメージを具体的に持ちやすくなります。
Excel管 理では物件別・入出金管理が追いつかなくなったために導入
不動産業では、家賃収入や管理費、修繕費など、物件ごとに継続的な入出金が発生します。開業当初はExcelで管理できていても、管理物件数が増えるにつれて入力作業や集計が煩雑になり、月末にまとめて処理する運用になりがちです。その結果、入力漏れや金額のズレが発生しやすく、正確な収支を把握できなくなるケースが見られます。
小規模な不動産管理会社では、クラウド会計ソフトを導入し、家賃入金や経費を日次で登録する運用に切り替えた事例があります。これにより、物件別・月別の収支をリアルタイムで確認できるようになり、修繕費が増えている物件や収益性の低い物件を早期に把握できるようになったとされています。結果として、賃料見直しや管理コスト削減といった判断につなげやすくなったとされています。
仲介・賃貸・管理を兼業し、事業別の損益が見えにくくなったために導入
不動産会社では、売買仲介、賃貸仲介、賃貸管理、自社物件運営など、複数の業態を同時に行っているケースが少なくありません。全体の売上や利益だけを見ていると、どの事業が収益を支えているのか把握しづらくなり、経営判断が感覚的になりやすい傾向があります。Excel管理では、事業別に数字を切り分ける作業が負担となり、月次での確認が遅れることもあります。
中小規模の不動産会社では、会計ソフトの部門管理機能を活用し、仲介・管理・自社運営といった事業別に収支を管理する運用へ移行した事例があります。これにより、月次で各事業の利益構造を把握できるようになり、注力すべき事業や改善が必要な業態を数字で判断できるようになったとされています。経営会議での意思決定スピードが向上した点も効果として挙げられています。
税理士とのやり取りや決算対応の負担が大きくなったために導入
不動産業では、税務処理や確定申告を税理士に依頼しているケ ースが一般的です。しかし、会計データを紙やExcelで管理している場合、決算期に資料をまとめて提出する必要があり、確認や修正のやり取りに時間がかかることがあります。特に取引件数が多い場合、数字の差異が生じやすく、経理担当者の負担が大きくなりがちです。
会計ソフトを導入し、税理士とデータ共有できる環境を整えた不動産会社では、日々の仕訳データをクラウド上で共有し、月次の段階から確認を行う運用に切り替えたケースがあります。その結果、決算時の修正作業が減り、申告準備にかかる時間が短縮されたとされています。経理担当者・税理士双方の負担軽減につながった点が評価されています。

不動産会社が会計ソフトを導入する際、価格や知名度だけを基準に選んでしまうと、導入後に運用面で課題が生じるケースがあります。会計ソフトは一度導入すると日常業務に深く組み込まれるため、後からの変更には手間やコストがかかります。不動産業特有の業務や、将来の事業規模を十分に考慮せずに選定した結果、使い続けられなくなる事例も少なくありません。ここでは、実際によく見られる失敗パターンを整理します。
無料だけで選び、後から乗り換えが必要になったケース
会計ソフトを「無料で使えるから」という理由だけで選んだ結果、事業拡大に対応できず、短期間で乗り換えが必要になるケースがあります。無料プランは仕訳件数や帳票出力、データ保存期間などに制限があることが多く、管理物件数や取引件数が増えると運用が難しくなりがちです。
実務では、法人化や従業員増加をきっかけに有料プランへの移行が必要となり、結果的に初期設定やデータ移行の手間が二重に発生した例も見られます。将来の規模を見据えずに選ぶことが失敗につながりやすいポイントです。
不動産業特有の取引に会計ソフトが十分対応できず、仕訳処理が煩雑になってしまうケースもあります。家賃収入、管理委託料、修繕費、原状回復費などは、勘定科目や補助科目を適切に設定できないと、手動調整が増えてしまいます。
汎用的な設定しかできないソフトを選んだ結果、Excelで別管理を併用することになり、会計ソフト導入の効果を十分に得られなかった事例もあります。不動産業務に合わせた柔軟な仕訳設定ができるかの確認不足が原因となるケースです。
税理士との連携を想定せずに会計ソフトを導入した結果、決算や申告時の負担が増えてしまうケースもあります。税理士側が対応していないソフトを選んでしまうと、CSV出力や紙資料でのやり取りが必要になり、確認作業や修正が増えやすくなります。
実際に、導入後に税理士から別ソフトへの変更を勧められ、再設定や再入力が発生した例もあります。会計ソフト選定時に、顧問税理士との相性や対応可否を確認していなかったことが原因となる失敗です。
まとめ|不動産会社に合った会計ソフトを選び、経理と経営判断を効率化しよう
不動産業界向けの会計ソフトは、「有名だから」「安いから」といった理由だけで選ぶと、導入後に業務と合わず、かえって負担が増えることがあります。不動産業では、家賃収入や管理費、仲介手数料など取引形態が多様で、物件別・事業別の管理が求められるため、自社の業務内容に合った機能を備えているかを見極めることが重要です。
本記事で紹介したように、会計ソフトは導入シーンや事業規模によって適した選択肢が異なります。小規模事業者であればシンプルなクラウド会計から始める方法もありますが、将来的な事業拡大や法人化、税理士連携まで視野に入れておくことで、無駄な乗り換えを避けやすくなります。また、無料プランの制限や有料移行の条件を把握しておくことも、長期的な運用では欠かせません。
会計ソフトは、単なる経理ツールではなく、経営状況を可視化し、意思決定を支える基盤となる存在です。自社の課題や成長フェーズを整理したうえで、複数のソフトを比較検討し、必要に応じて専門家の意見も取り入れながら選定することをおすすめします。適切な会計ソフトを導入することで、経理業務の効率化だけでなく、不動産事業全体の安定的な運営にもつなげていきましょう。
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