製造業向け固定資産管理システム7選|比較表と選び方
更新日 2026年05月14日
製造業では、原材料費や人件費の高騰、設備の老朽化、サプライチェーンの変化、法改正対応などにより、従来以上に厳密なコスト管理と設備投資判断が求められています。こうした環境では、工場や生産現場にある資産を正確に把握し、どの設備にどれだけコストがかかっているのかを管理することが重要です。
なかでも固定資産は、工場設備や金型、車両、リース資産、建設仮勘定など対象が多く、管理が不十分なままだと、減価償却や税務申告のミス、棚卸の長期化、遊休資産の放置につながるおそれがあります。
本記事では、製造業におすすめの固定資産管理システムを比較し、自社に合う製品の選び方を解説します。
製造業におすすめの固定資産管理システム7選【比較表】

製造業向けの固定資産管理システムは、製品ごとに得意領域が異なります。ここでは、製造業で重視されやすい「複数拠点管理」「現物管理」「建設仮勘定」「リース資産」「会計・ERP連携」「申告業務対応」の観点から、おすすめの固定資産管理システムを選定ました。
今回紹介するサービスは、主に会計連携・申告業務を効率化したい企業向け、大企業・グループ企業の複雑な資産管理向け、ERP・基幹業務と一体で管理したい企業向けの3タイプに分けられます。
まずは比較表で各サービスの特徴を確認し、自社の資産規模、拠点数、管理体制、既存システムとの連携要件に合うシステムを検討しましょう。
タイプ | 向いている企業 | 該当するサービス例 |
|---|
会計連携・申告業務を効率化したい企業向け | 固定資産台帳、減価償却、申告業務、会計連携を効率化したい製造業 | ・マネーフォワード クラウド固定資産 ・FAManager |
大企業・グループ企業の複雑な資産管理向け | 複 数拠点・複数会社の資産管理、建設仮勘定、リース資産、減損処理などをまとめて管理したい製造業 | ・OBIC7 固定資産管理システム ・ProPlus固定資産システム ・HUE Asset ・総合資産管理サービスASP |
ERP・基幹業務との一体運用を重視する企業向け | 固定資産管理だけでなく、会計・販売・購買などの基幹業務とまとめて管理したい製造業 | Plaza-i 固定資産管理システム |
ここからは、それぞれのタイプごとに、さらに詳しく解説していきます。
【会計連携・申告業務を効率化】製造業におすすめの固定資産管理システム
ここからは、固定資産台帳や減価償却、申告業務、会計連携を効率化 したい製造業におすすめの固定資産管理システムをご紹介します。
会計連携・申告業務の効率化を重視する場合は、減価償却計算や申告帳票の出力、仕訳データ作成、既存会計システムとの連携に対応しているかを確認しましょう。
サービス名 | 強み・特徴 | おすすめの企業 |
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マネーフォワード クラウド固定資産 | ・証憑や異動履歴を資産情報に紐付けできる ・会計システムとの連携を前提に運用しやすい | ・部門間で資産情報を共有したい製造業 ・クラウド会計連携を重視する製造業 |
FAManager | ・会計や税務別の償却計算に対応 ・制度改正や申告業務に対応しやすい | ・固定資産の会計や税務処理を正確に管理したい製造業 ・申告業務や制度対応を重視する製造業 |
マネーフォワード クラウド固定資産
株式会社マネーフォワード
出典:マネーフォワード クラウド固定資産 https://biz.moneyforward.com/fixed-assets/
マネーフォワード クラウド固定資産は、株式会社マネーフォワードが提供するクラウド型の固定資産管理システムです。固定資産台帳の管理から減価償却の計算、仕訳データの作成までを一貫して行えます。
写真や証憑、異動履歴などを資産情報に紐付けて一元管理できる点が特徴。現場・総務・情シス・経理といった各部門間で常に同じ情報を共有できるため、工場設備や金型、車両、IT機器などの資産が複数拠点に分散しやすい製造業の環境に非常に適しています。
さらに、作成した仕訳データは、マネーフォワード クラウド会計Plusや他社の会計システムとスムーズに連携が可能。償却資産申告書や法人税別表16といった帳票出力にも対応しているため、Excelでの煩雑な管理から脱却し、会計連携や申告業務の工数を削減したいという製造業におすすめできるシステムです。
主な機能
- 複数拠点のデータ管理・共有
- 減損会計
- 別表十六の出力
- 償却資産申告書の出力
FAManager
株式会社TKC
出典:FAManager https://www.tkc.jp/company/about/
FAManagerは、株式会社TKCが提供する上場企業向けのクラウド型の固定資産管理システムです。固定資産の会計・税務にワンストップで対応しています。
税法・会計別の償却計算から新リース会計基準、減損、資産除去債務、償却資産申告などに対応しており、経理・財務部門の固定資産業務を効率化できます。設備投資の規模が大きく、複数工場や部門をまたいで資産を管理するケースが多い製造業の運用環境と高い親和性を持っています。
購買システムといった既存の業務システムとデータ連携できる点も大きな強み。設備の取得から固定資産台帳への登録、仕訳や申告書作成までの一連の業務フローをスムーズに構築できます。度重なる制度改正への確実な対応や、申告業務における高い正確性を重視する製造業におすすめしたいシステムです。
【複雑な資産管理に強み】製造業におすすめの固定資産管理システム
ここからは、複数拠点・複数会社の資産管理や建設仮勘定、リース資産、減損処理などをまとめて管理したい製造業におすすめの固定資産管理システムをご紹介します。
複雑な資産管理を重視する場合は、単なる固定資産台帳の管理だけでなく、建設仮勘定、リース資産、減損、棚卸、複数会社管理などに対応できるかを確認しましょう。
サービス名 | 強み・特徴 | おすすめの企業 |
|---|
OBIC7 固定資産管理システム | ・建設仮勘定、リース資産管理に強み ・案件別の残高や予実管理にも対応
| ・工場新設や大型設備投資がある製造業 ・建設仮勘定を案件単位で管理したい製造業 |
ProPlus固定資産システム | ・複数帳簿や多様な償却計算に強み ・組織変更や除却などの一括処理に対応 | ・会計、税務、IFRSなど複数基準で管理したい製造業 ・大量資産をまとめて処理したい製造業 |
HUE Asset | ・現場棚卸と経理業務の連携に強み ・QRコード棚卸や建仮配賦登録に対応 | ・現場からの報告や棚卸を効率化したい製造業 ・経理と現場で同じ資産情報を管理したい製造業 |
総合資産管理サービスASP | ・標準機能の広さと月額制に強み ・法改正対応や問い合わせ対応を含めて運用しやすい | ・追加費用を抑えて幅広い機能を使いたい製造業 ・中堅から大手規模で総合的に資産管理したい製造業 |
OBIC7 固定資産管理システム
株式会社 オービック
出典:OBIC7 固定資産管理システム https://www.obic.co.jp/erp_solution/accounting_info/fixed_assets.html
OBIC7 固定資産管理システムは、株式会社オービックが提供する総合型の固定資産管理ソリューションです。台帳管理にとどまらず、リース資産の管理や建設仮勘定機能まで幅広くカバーしています。
複雑な運用ニーズに応え、台帳への登録はもちろん、分割、売却、除却、減損、資本的支出といったあらゆる異動管理を網羅。6つの基準による減価償却計算や、法人税別表16、固定資産税申告書の作成業務も強力にバックアップします。
また、「建設仮勘定オプション」を活用すると、工場の新設や大型設備導入時における案件別の残高・予実管理から、完成時の本勘定への振替処理までをスムーズに行えます。大規模な設備投資を控えている企業や、複数拠点にまたがる高度な資産管理を必要とする製造業の運用基盤として、運用基盤として検討しやすいシステムです。
ProPlus固定資産システム
株式会社プロシップ
出典:ProPlus固定資 産システム https://www.proship.co.jp/company/outline/
ProPlus固定資産システムは、株式会社プロシップが提供する固定資産管理システムです。固定資産の取得から移動・除却までのライフサイクル全体を捉え、減価償却や減損などの会計・税務情報と現物管理をまとめて一元化できます。
1つの資産に複数帳簿を設定でき、定額法・定率法・即時償却・リース期間定額法など多様な償却方法にも対応。設備や金型の数が多く、複数の基準で資産 を管理する製造業でも役立ちます。
また、組織変更、耐用年数、遊休、取得、除却、売却、移動などを一括処理できるため、大量資産を持つ製造業でも業務を効率化しやすい点も特徴。複数会社管理や海外展開にも対応しやすく、グループ企業にも向いています。
HUE Asset
株式会社ワークスアプリケーションズ
出典:HUE Asset https://www.worksap.co.jp/services/asset-management/
HUE Assetは、株式会社ワークスアプリケーションズが提供する大手企業向け固定資産管理システムです。固定資産・建設仮勘定・リース・棚卸・減損までを標準機能で管理できます。
工場設備や金型、製造ライン、リース設備などの管理に加え、工場新設や設備更新に伴う建設仮勘定の精算、棚卸結果の台帳反映、減損兆候の判定まで一元化が可能。スマートデバイスによるQRコード棚卸やリース判定、建仮配賦登録など、現場業務と経理業務をつなぐ機能も備えています。
また、複数工場・複数部門で資産情報が分散しやすい企業でも、入力から確認、会計処理までを同じシステム上で管理しやすい点が強みです。複雑な資産管理を標準機能でカバーしたい大企業やグループ企業に向いています。
総合資産管理サービスASP
三井住友ファイナンス&リース株式会社
出典:総合資産管理サービスASP https://www.smfl.co.jp/asp/
総合資産管理サービスASPは、三井住友ファイナンス&リース株式会社が提供するASP型の固定資産管理システムです。固定資産の取得、異動、除却、売却までの一連の処理と、会計・税務処理をまとめて支援します。
管理対象は、有形固定資産、無形固定資産、少額資産、帳簿外資産、リース資産、建設仮勘定資産、資産除去債務資産など幅広く、製造業で発生しやすい設備・金型・工場関連資産の管理にも対応しやすい設計です。
製造業向けには、固定資産管理システム内にセグ メント情報を保持することで、正確な原価計算に必要な情報を管理できるほか、工場の新設や移転に伴う大量資産の一括処理にも対応しています。ASP型で利用できるため、自社でサーバーを用意せずに運用しやすい点も特徴です。月額料金制で利用できるため、中堅から大手の製造業に適しています。
【ERPとの一体運用を重視
】製造業におすすめの固定資産管理システム
ここからは、ERPとの一体運用を重視する製造業におすすめの固定資産管理システムをご紹介します。
ERPとの一体運用を重視する場合は、固定資産管理だけでなく、会計・購買・販売などの基幹業務と資産情報をどこまで連携できるかを確認しましょう。
サービス名 | 強み・特徴 | おすすめの企業 |
|---|
Plaza-i 固定資産管理システム | ・ERPと一体で固定資産を管理できる ・部門別配賦や減価償却費のシミュレーションに対応 | ・固定資産管理と基幹業務をまとめて運用したい製造業 ・工場別、部門別のコスト管理を強化したい製造業 |
Plaza-i 固定資産システム
株式会社ビジネス・アソシエイツ
出典:Plaza-i 固定資産システム https://corp.ba-net.co.jp/product/plazai/function/fas
Plaza-i 固定資産管理システムは、株式会社ビジネス・アソシエイツが提供する固定資産管理システムです。ERPパッケージの一部としても、単独のシステムとしても柔軟に利用できます。
建設仮勘定からソフトウェア仮勘定、減損処理、リース会計、資産除去債務、IFRS会計まで幅広い要件に対応し、クラウドやオンプレミスなど環境に合わせた導入が可能です。さらに、部門別配賦や将来の減価償却費シミュレーション機能も備えています。
設備投資や資産取得の情報を会計・購買・販売といった基幹業務とつなげ、ERP上で統合的に管理できます。固定資産管理を単独の業務として切り出さず、工場 別の精緻なコスト把握や経営管理まで一貫して行いたい製造業に向いています。

製造業では、工場設備や金型、車両、リース資産など、多くの固定資産を長期間にわたって管理する必要があります。さらに、設備投資や法改正対応、棚卸、会計処理も発生するため、手作業やExcelだけでは負担が大きくなりがちです。
ここからは、製造業で固定資産管理システムが求められる主な理由を紹介します。
工場設備・金型・車両など管理対象が多く複雑になりやすい
製造業では、管理対象となる固定資産が多く、種類も幅広いため、資産情報を一元管理できる仕組みが必要です。たとえば、生産設備は製造部門、車両は総務部門、ソフトウェアは情報システム部門が管理している場合、取得日や耐用年数、設置場所、使用状況、メンテナンス履歴が分散しやすくなります。その結果、どの資産がどこにあり、現在も使われているのかを正確に把握しにくくなります。
固定資産管理システムを導入すれば、資産の種類や管理部門が異なっても、必要な情報を同じ台帳上で整理できます。製造業では、まず多種多様な資産を正確に把握できる状態を整えることが重要です。
現場と経理で資産情報が分散しやすい製造業では、固定資産管理システムの必要性が高まります。現場は設備の所在や使用状況を把握している一方で、経理は取得金額や減価償却、税務処理を管理するため、見ている情報が異なりやすいからです。
たとえば、現場ではすでに使われていない設備が、経理上は稼働中の資産として台帳に残っていることがあります。反対に、設備の移動や更新が現場で行われても、経理への共有が遅れると台帳情報とのずれが生じます。
固定資産管理システムを使えば、現場と経理が同じ台帳を確認しやすくなります。資産の取得、移動、除却、棚卸結果を共通の情報として管理できるため、部門間の確認作業も減らせます。
固定資産の件数が多くなりやすい製造業では、減価償却や税務申告、会計処理の負担も大きくなります。法人の減価償却では、資産の種類、構造、事業の用に供した年月、取得価額などをもとに法人税別表16を作成する必要があるため、資産情報の正確な管理が欠かせません。
生産設備や金型、建物附属設備などは、資産ごとに取得価額、耐用年数、償却方法が異なります。さらに、除却、売却、移動、減損、リース契約などが加わると、Excelでの計算や確認に時間がかかります。入力ミスや計算式の破損があると、申告内容にも影響が出かねません。
固定資産管理システムでは、資産情報に基づいて減価償却費や仕訳、申告関連帳票を作成しやすくなります。経理業務の正確性を高めるうえでも、システム化は有効です。
製造業では、建設仮勘定や設備投資の管理にも正確性が求められます。建設仮勘定とは、工場の新設や設備導入など、完成前の支出を一時的に管理する勘定科目です。完成後は、機械装置や建物などの本勘定へ振り替える必要があります。
たとえば、新しい製造ラインを導入する場合、機械本体の購入費だけでなく、設置工事費、輸送費、試運転費用などが発生することがあります。これらを案件ごとに正しく集計できないと、完成時の資産計上や減価償却の開始時期にずれが出る恐れがあります。
固定資産管理システムで建設仮勘定や設備投資案件を管理できれば、支出の進捗や振替処理を把握しやすくなります。大型投資が多い製造業 ほど、導入効果を感じやすい領域です。

固定資産管理システムは、どの製品でも同じ機能を備えているわけではありません。製造業では、確認すべき要件が多くあります。
ここからは、製造業がシステムを比較する際に重視したいポイントを紹介します。
最優先すべきは会計処理か、現場の現物管理かを明確にする
固定資産管理システムを選ぶ際は、まず自社が重視する目的を整理しましょう。製造業では、減価償却や申告業務を効率化したい企業もあれば、工場設備や金型の現物管理を強化したい企業、建設仮勘定やリース資産まで含めて管理したい企業もあります。
会計・税務処理を重視する場合は、仕訳出力や償却資産申告書、法人税別表16などの帳票出力に対応しているかを確認しましょう。複数工場で資産を管理する場合は、拠点別管理や棚卸機能、QRコード・バーコード対応が重要です。ERPや生産管理システムとあわせて運用したい場合は、既存システムとの連携実績も確認しておく必要があります。
製造業が固定資産管理システムを選ぶ際は、工場設備や金型、治具を単品単位で管理できるか確認しましょう。製造現場では、同じ種類の資産でも設置場所、使用回数、保管状況、メンテナンス履歴が異なるため、まとめて管理すると実態を把握しにくくなります。
たとえば、同じ製品に使う金型でも、工場ごとに保管場所や使用頻度が違う場合があります。単品単位で管理できれば、どの金型がどこにあり、いつ点検が必要なのかを確認しやすくなります。設備の更新判断や保全計画にも活用できます。
選定時は、資産ごとに管理番号を付与できるか、写真や設置場所を登録できるか、 移動履歴を残せるかを確認してください。製造業では、会計上の台帳管理だけでなく、現物の状態まで追える機能が重要です。
工場の新設や生産ラインの増強がある企業では、建設仮勘定や設備投資の進捗管理に強みがあるシステムかどうかも欠かせない選定基準です。設備投資では、発注から納品、設置、検収、稼働開始までに時間がかかり、支出も複数回に分かれます。
たとえば、設備導入プロジェクトで機械本体、基礎工事、電気工事、搬入費用を別々に管理している場合、完成時にどの費用を固定資産へ振り替えるべきか確認に手間がかかります。進捗や支出を案件単位で把握できないと、資産計上の漏れや償却開始時期の誤りにつながります。
システム選定では、建設仮勘定の残高管理、案件別管理、本勘定への振替処理に対応しているかを見ましょう。設備投資が多い製造業では、導入前に必ず確認したい機能です。
リース資産・除却・減損など製 造業で発生しやすい会計処理に対応できるか
製造業では、生産設備、車両、IT機器などをリース契約で利用するケースがあります。そのため、固定資産管理システムを選ぶ際は、リース資産の契約情報、支払予定、再リース、償却計算などを管理できるか確認しましょう。
特にリース資産が多い企業では、リース会計基準への対応状況も重要です。企業会計基準委員会は2024年9月に「企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等」を公表しており、今後の制度対応を見据えたシステム選定が求められます。
また、製造業では古くなった設備の除却や売却、資産価値の低下に伴う減損処理、将来の撤去費用を見込む資産除去債務なども発生します。これらを手作業で管理すると、契約情報や償却計算、会計処理の確認に時間がかかり、複数拠点を持つ企業では処理漏れのリスクも高まります。
システム比較時は、リース契約、除却・売却、減損、資産除去債務への対応範囲を確認し、資産取得後の変化まで適切に管理できるかを見極めるこ とが大切です。
QRコードやバーコードで複数拠点の棚卸を効率化できるか
複数の工場や倉庫を持つ製造業では、QRコードやバーコードを使った棚卸に対応しているか確認しましょう。資産数が多いほど、紙のリストやExcelを見ながら現物確認を行う方法では時間がかかり、確認漏れも起きやすくなります。
たとえば、資産ラベルを貼付した設備や工具をスマートフォンやハンディ端末で読み取れれば、現物の有無や設置場所をその場で記録できます。棚卸結果をシステムへ反映できれば、経理が手作業で集計する負担も軽くなるでしょう。
選定時は、QRコードやバーコードの発行、スマートデバイスでの読み取り、棚卸結果の差異確認に対応しているかを見てください。現場の負担を減らすには、経理だけでなく、実際に棚卸を行う担当者 が使いやすいかも確認する必要があります。
会計システム・ERP・生産管理システムと連携できるか
固定資産管理システムは、会計システムやERP、生産管理システムと連携できるものを選ぶと運用しやすくなります。ERPとは、会計・販売・購買・在庫などの基幹業務をまとめて管理する仕組みのことです。製造業では、資産取得や設備投資の情報が複数システムにまたがりやすいため、連携性が重要になります。
たとえば、購買システムで登録した設備購入データを固定資産台帳へ取り込み、減価償却費や仕訳を会計システムへ連携できれば、二重入力を減らせます。生産管理システムと関連づけることで、工場別やライン別のコスト把握にも活用しやすくなるでしょう。
比較時は、CSV連携、API連携、会計仕訳の出力形式、既存システムとの連携実績を確認してください。導入後の運用負担を抑えるには、現在使っているシステムとの相性を事前に見ておくことが重要です。
固定資産管理システムを選ぶ際は、法改正や税制改正に継続して対応できるかも確認しましょう。固定資産管理では、減価償却制度、リース会計、税務申告、償却資産税など、制度変更の影響を受ける業務が多いためです。
自社でExcelを更新している場合、改正内容を確認し、計算式や帳票を修正する必要があります。担当者の知識に依存すると、対応漏れや判断のばらつきが生じることもあります。一方、制度対応が継続的に行われるシステムであれば、最新の会計基準や税制に合わせた処理を行いやすくなります。
選定時は、ベンダーの制度改正対応方針、アップデート頻度、サポート体制、追加費用の有無を確認してください。長く使うシステムだからこそ、導入時の機能だけでなく、将来の変更に備えられるかを重視しましょう。

固定資産管理システムを導入すると、台帳管理を効率化するだけでなく、現場確認、会計処理、設備投資判断、監査対応まで改善しやすくなります。
ここからは、製造業で期待できる主なメリットを紹介します。
棚卸や現物確認の作業時間を短縮できるのも大きなメリットです。資産ラベルやQRコード、バーコードを活用すれば、現物の確認結果をシステムへ反映しやすくなります。
工場や倉庫に点在する設備、金型、工具、検査機器を紙のリストで確認する場合、チェック後の転記や差異確認に手間がかかります。システム上で読み取り結果を管理できれば、未確認資産や設置場所の違いも見つけやすくなるでしょう。棚卸のたびに現場と経理の作業が膨らんでいる場合は、現物確認に対応したシステムを選ぶことで負担を軽減できます。
減価償却や申告業務のミスを防ぎやすくなるのも、固定資産管理システム導入のメリットの一つです。資産ごとの取得価額、耐用年数、償却方法をもとに計算でき、手入力や表計算のミスを減らせるからです。
Excelで管理していると、計算式の変更漏れや台帳更新の遅れが、償却費や申告内容に影響する場合があります。システムで資産情報と会計処理をつなげれば、仕訳や申告関連資料も作成しやすくなります。正確性が求められる経理業務では、システム化による安心感も大きいでしょう。
固定資産管理システムは、設備投資や更新計画の判断にも活用できます。資産の取得時期、償却状況、設置場所、利用状況などを整理できるため、どの設備を更新すべきか検討しやすくなるからです。
古い設備や遊休資産を把握できれば、新規購入前に転用の可否を確認しやすくなります。単なる台帳管理ではなく、設備投資の判断材料として使える点は、製造業にとって重要なメリットです。
固定資産管理システムを導入すると、監査対応や内部統制を強化しやすくなります。資産の登録、変更、移動、除却などの履歴を残しやすく、誰がいつ処理したのかを確認できるためです。
製造業では、固定資産の金額が大きく、工場や部門をまたいで管理されることも多いため、台帳と現物の整合性が重視されます。履歴や承認フローを残せるシステムであれば、決算や監査時の説明資料も準備しやすくなるでしょう。資産管理の透明性を高めたい場合は、操作ログや権限設定、承認機能なども確認しておくと安心です。

製造業向け固定資産管理システムの費用は、クラウド型か大企業向けかによって大きく変わります。公開価格があるサービスもありますが、資産数や拠点数、連携範囲によって個別見積もりになるケースも多いため、目安と確認ポイントを分けて押さえましょう。
クラウド型は月額1万円台から利用できるサービスもある
クラウド型の固定資産管理システムは、月額1万円台から利用できるサービスもあります。クラウド型はサーバーを自社で用意せずに使えるため、初期費用を抑えて導入しやすい点が特徴です。
ただし、実際の費用は利用人数、同時接続数、利用するソフト数、法人数 などによって変わります。まずは固定資産台帳や減価償却、申告業務を効率化したい製造業であれば、クラウド型の料金を基準に比較すると検討しやすいでしょう。
大企業向け・ERP連携型は個別見積もりになることが多い
固定資産管理システムは、管理する資産数や拠点数が多いほど、個別見積もりになる傾向があります。製造業では、工場設備や金型、車両、リース資産などの件数が多く、複数工場・複数部門で利用するケースもあるためです。
たとえば、固定資産台帳と減価償却計算だけで利用する場合と、複数拠点の現物管理、建設仮勘定、リース管理、会計システム連携まで含める場合では、必要な機能や設定範囲が異なります。利用ユーザー数や権限設定、データ移行の有無によっても費用は変わります。そのため、料金表だけで判断せず、自社の資産数、拠点数、必要機能、連携したいシステムを整理したうえで見積もりを依頼することが大切です。
固定資産管理システムの費用は、月額料金やライセンス費用だけで判断しないことが大切です。導入時には、既存のExcel台帳の移行、資産分類の設計、初期設定、ユーザー教育、会計システムやERPとの連携などに費用がかかる場合があります。
特に製造業では、複数工場の台帳を統合したり、購買・会計・生産管理システムとデータを連携したりするケースがあります。システム利用料が安くても、連携開発や現場運用の手間が大きければ、結果的に負担が増える場合もあるでしょう。
比較時は、初期費用、月額費用、オプション費用、導入支援費、連携費用を含めた総額で確認してください。費用相場を見る際は、単純な月額料金ではなく、導入後に安定して運用できるかまで含めて判断しましょう。
製造業で固定資産管理システムを導入する前に確認すべきこと

固定資産管理システムを効果的に使うには、導入前の準備が欠かせません。台帳や運用ルールが曖昧なまま導入すると、システム化しても管理精度が上がりにくくなります。
ここからは、事前に確認したい項目を紹介します。
固定資産管理システムを導入する前に、既存のExcel台帳や会計データを整理しておきましょう。登録情報が古いままだと、システムへ移行しても正確な管理につながらないためです。
確認したい項目は、資産名、取得日、取得価額、耐用年数、設置場所、管理部門、稼働状況などです。重複している資産や、すでに除却済みなのに台帳に残っている資産がないかも見直してください。
データ整理を先に行うことで、移行時の手戻りを減らせます。特に複数工場で別々の台帳を使っている場合は、項目名や管理番号のルールをそろえてからシステムへ移すと運用しやすくなります。
固定資産管理システムを導入する前に、資産分類や管理項目を決めておきましょう。分類ルールが曖昧なままだと、登録担当者によって入力内容がばらつき、検索や集計がしにくくなります。
たとえば、機械装置、工具器具備品、車両、ソフトウェア、金型、治具などをどの分類で管理するかを決めておく必要があります。管理項目としては、設置場所、使用部門、管理責任者、保守期限、写真、ラベル番号などが考えられます。
すべての項目を増やしすぎると入力負担が大きくなります。会計上必要な情報と、現場管理に必要な情報を分けて考え、自社に必要な項目を絞り込みましょう。
固定資産管理システムを導入する際は、棚卸方法やラベル運用を現場に定着させることが欠かせません。システムに台帳があっても、現場で資産ラベルが貼られていなかったり、移動時の更新ルールが守られなかったりすると、情報はすぐに古くなります。
QRコードやバーコードを使う場合は、どの資産にラベルを貼るのか、誰が読み取るのか、差異が出た場合に誰が確認するのかを決めておく必要があります。工場や倉庫ごとに運用が変わる場合は、最低限の共通ルールも必要です。現場に無理なく続けてもらうには、入力項目を絞り、作業手順を簡単にすることが大切です。導入前に現場担当者の意見も確認しましょう。
導入前に経理、工場、情シスの役割分担を明確にしておくこともおすすめです。固定資産管理は経理だけで完結せず、現場の実態確認やシステム運用も関わるためです。
経理は取得価額や減価償却、申告処理を担当し、工場側は設置場所、稼働状況、移動、除却予定などを把握します。情シスはユーザー権限、既存システム連携、セキュリティ設定などを支援する立場になるでしょう。役割が曖昧なまま導入すると、台帳更新や承認が止まる原因になります。誰が登録し、誰が確認し、誰が最終承認するのかを事前に決めておくと、導入後の運用が安定します。
既存システムとの連携範囲を確認しておくことも欠かせません。会計、購買、ERP、生産管理などとどこまでつなげるかによって、必要な機能や導入費用が変わるためです。
最初からすべてを連携する必要はありません。優先順位を決めて段階的に進めると、導入負担を抑えながら効果を出しやすくなります。
製造業の固定資産管理システム導入でよくある質問(FAQ)
固定資産管理システムを検討する際は、移行準備や管理対象、既存システムとの連携に不安を感じる企業も少なくありません。ここでは、製造業でよくある質問に回答します。
金型や治具などの少額資産も、システムによっては管理できます。ただし、会計上の固定資産として管理するのか、現物管理の対象として管理するのかを分けて考えることが大切です。
製造業では、金額は小さくても、生産に欠かせない金型や治具が多くあります。これらを資産台帳や物品管理機能で管理できれば、所在確認や棚卸、メンテナンス状況の把握に役立ちます。選定時は、少額資産や管理対象外資産も登録できるか確認しましょう。
建設仮勘定やリース資産はどのシステムでも管理できる?
建設仮勘定やリース資産は、すべての固定資産管理システムで同じように管理できるわけではありません。標準機能で対応しているものもあれば、オプション機能として提供されるものもあります。
工場新設や大型設備投資が多い企業は、建設仮勘定の案件別管理や本勘定への振替処理ができるかを確認してください。リース設備が多い場合は、契約情報、支払予定、再リース、新リース会計基準への対応も重要。自社の取引内容に合う機能を選びましょう。
必須ではありませんが、会計システムやERPと連携できると、取得データの登録、減価償却費の計算、仕訳出力などの二重入力を減らしやすくなります。CSV出力やAPI連携に対応しているかを確認しましょう。
まとめ|製造業では現物管理・会計処理・システム連携を基準に選びましょう
製造業で固定資産管理システムを選ぶ際は、現物管理・会計処理・システム連携の3点を軸に比較することが大切です。工場設備や金型、治具、車両、リース資産、建設仮勘定など、管理対象が多い製造業では、台帳管理だけでなく、現場での所在確認や棚卸まで含めて運用できるかを確認しましょう。
また、減価償却や申告業務の効率化、会計システム・ERPとの連携、法改正への対応も重要な判断材料です。導入前には、既存台帳の整理、資産分類の統一、現場と経理の役割分担を決めておくと、システム導入後の定着が進みやすくなります。
自社の資産数、拠点数、会計処理の複雑さを整理したうえで、必要な機能を備えた固定資産管理システムを選びましょう。
運営に関するお問い合わせ、取材依頼などはお問い合わせページからお願いいたします。